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ソーシャルアクション『社会の潮目』

創業当初からビジネスと統合した社会貢献活動として、People(社員によるボランティア活動)、Technology(非営利団体への製品寄贈・割引)、Resources(非営利団体への助成)を柱とした「1/1/1モデル」を掲げているセールスフォース・ドットコム。世界中のコミュニティを向上させるための「1/1/1モデル」の取り組みについて、セールスフォース・ドットコム ファンデーションのマネージャーである遠藤様にお聞きしました。

 

セールスフォース・ドットコムファンデーション
http://www.salesforce.com/jp/company/foundation/

(掲載日:2013/12/17)


連動することで価値を増幅させる「1/1/1モデル」

【友田】 御社の「1/1/1モデル(People、Technology、Resources)」をわかりやすく説明して頂けますでしょうか。

【遠藤】 まずTechnology(製品)という部分は、非営利団体に対してSalesforceという自社製品クラウドアプリケーション及びプラットフォームを寄贈や割引で提供しています。People(社員によるボランティア活動)では、ゴミ拾いなどの想像しやすいボランティアのほか、非営利団体がSalesforceをより効果的に使えるためのアドバイスを社員がプロボノとして行うことや非営利団体のプロジェクトに参加するというのがあります。そのため社員には、年6日の有給ボランティア休暇が与えられています。Resources(助成)では、社員の主体的なボランティア活動を財政支援することや、マッチング寄付プログラムにより社員の寄付を奨励し、社員が寄付する額と同額を支援しています。また、恵まれない環境にある若者たちに対してビジネスやアントレプレナーシップについての学ぶ機会を提供するプログラムなど各種助成を実施しています。

【友田】 「1/1/1モデル」では、それぞれがバラバラに動いているわけではなく、連動しているのですね。

【遠藤】 そうですね。例えば、1/1/1モデルのパートナーである公益社団法人シャンティ国際ボランティア会はSalesforceで情報を一元管理して、日本と海外拠点のスタッフがあらゆる情報をリアルタイムで共有しています。そして、シャンティの様々な活動に弊社社員がボランティアとして関わっています。その活動は、Salesforceの活用を支援するプロボノ、子どもの本が足りない地域に日本の絵本に訳文シールを貼って送る活動、東日本大震災の被災地の移動図書館プロジェクトのお手伝いなどです。少し詳しく説明しますと、移動図書館プロジェクトの場合、移動図書館から新しい本を借りて読みたいけど文字が小さく読むことができないご高齢の被災者の方のために、弊社が大活字本を購入し、長く使えるように本に透明のカバーをかけて寄贈しています。また、アイロンプリントでかわいい模様を施した本貸し出し用エコバックをつくり、被災者の方々に愛用いただいています。このように、その団体に寄り添う形で活動を行っています。

【友田】 今の話を伺って、御社のwebサイト内にある社員によるボランティア活動のページに「culture of careの精神を広げています」とありますが、その意味が少しだけわかった気がします。その団体の意図に沿った中で、活動を発展させるような形で支援を進められているのですね。単に製品提供、ボランティア活動、資金提供ではなく、連動させることで相乗効果を生んでいますね。
 話は変わりますが、御社の製品を使用されている非営利団体数はどのくらいになるのでしょうか。

【遠藤】 現在、世界で20,000、日本でも400近い非営利団体がSalesforceを使って業務効率化を高め、本業のミッション達成のために取り組んでいらっしゃいます。日本でも、社会をよりよくするための非営利・ソーシャルセクターの活動が勢いを増してきていて、また、営利/非営利といったセクターを問わずクラウドのサービスを手軽に使う時代になってきています。このふたつの理由から、Salesforceを使いたいという非営利団体の数が、非常に増えてきています。

【友田】 400団体とは、すごいですね。NPO法人が約48,000、公益(社団・財団)法人が約2,300団体ですから、全体の約0.8%になりますね。製品を提供されているのは、10アカウントの無料提供の利用が多いのでしょうか。

【遠藤】 10アカウントまで無料で使用できるというのはグローバルなルールです。日本では、最もご契約の多い非営利の法人格がNPO法人ですが、NPO法人の事務局のサイズは10人あるいはそれ以下の場合がほとんどです。開発や機能習得のためにイニシャルコストはかけていただく必要はあるかもしれませんが、Salesforceを使い続けるランニングコストは、10アカウント、つまり10人以下でご利用の場合にはかかりません。
 11人以上でご利用の場合には、割引価格でご提供しています。最近では、スタッフを一人雇用するよりシステムに投資して業務効率化を図ったほうがよいと考えて、割引価格でさらなる機能を実現させる団体が増えています。セールスフォース・ドットコム ファンデーションは、自らが社会的企業であり、割引価格で製品を提供した売上が、自らの活動資金源になっています。通常、企業の社会貢献部門は、会社で予算をあらかじめ用意してもらう形が多いかと思いますが、弊社では、社会貢献部門が自ら稼ぐ仕組みになっています。非営利団体に対して製品を販売して組織を支える営業、いわば「ファンドレイザー」というポジションが世界各国におります。
 より多くの非営利団体に有償でもSalesforceを使っていただくことにより、より多くの活動資金を得て、助成やボランティア活動資金という形で非営利セクターに還元していくことができます。このサイクルをもっと大きくしていきたいと思っています。

【友田】 事業収入をもって運営されているという事ですね。それでこそ継続した支援ができますよね。理想論ではなく、地に足がついた取り組みだからこそ広がっていると感じます。

 

ハイパフォーマーは、ボランティアにも熱心!

 

【友田】 社員ボランティアに話を移しますが、どの程度の社員の方が有給ボランティア休暇を使われているのでしょうか?また、ボランティア活動は、社員自身が見つけてくるものが多いのですか?

【遠藤】 ほぼ全ての社員が有給ボランティア休暇を取って活動しています。その活動量は人それぞれで、土日も含めて何百時間という人もいれば、1年で自分はこれをするというのを決め、無理のない範囲で続けている人もいます。
 入社前から自らが活動していたボランティアがある場合、それを広く社内に紹介・展開する例もあります。非営利団体と話を重ねて生み出す活動もあります。弊社では、社員有志による社会貢献委員会という40人程のグループがあり、ボランティアプログラムの企画実行を担っています。メンバーは、様々な部署から立候補してきています。
 弊社は、今年7月からアドレスを丸の内に構えています。社会貢献委員会では、皇居の近くという立地を活かして、公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢をという団体を支援する皇居チャリティランを10月に行いました。企画段階より社員有志が主体的に動き、皇居の管理事務所への問合せ、警察への申請といった業務もチームワークで行っていました。様々な部署にいる社会貢献委員が、隣の席、向かいの席の同僚に「一緒にチャリティランをしませんか?」と声を掛けていきますので、社員にとっては身近に感じられるようです。今回も多くの参加がありました。
 社会貢献活動を通じて、「社会を変えようとしている先進的な方々の活動を知れて、知見が広がってとても面白い」「自分たちが出来ることで、スキルも活かし、お手伝いをして「ありがとう」と言ってもらえることがこんなに嬉しいことを知った」ということの他に、「社内に知り合いが増えて、インターナルコミュニケーションが良くなった」と話す社員も多いです。

【友田】 他社でもボランティアやプロボノで、いい影響が出ていると聞きますが、やはり非常にいい影響が出ているのですね。

【遠藤】 そうですね。弊社の社長はよく、“やりたいことを社員にさせることが、社員の意欲向上につながる。社会貢献活動をすると、社員は誇りを持てる。そういう社員は、いい仕事をする。” と申しています。社会貢献の場で活躍している社員は、どんなに忙しくても仕事も社会貢献活動もしっかり行う人が多いと感じています。1/1/1モデルは、優秀な方に入社していただき、優秀な方に長く勤続してもらう動機にもなっており、リーダーシップ育成やプロジェクトマネジメントの経験といったスキル向上の機会にもなります。また、多くの社員が、会社へのロイヤリティが向上すると言っています。社歴の長い社員がリーダーとして活躍し、新しく入ってくる社員を引っ張ってくれているのも大変うれしいことです。

【友田】 やはりそうなのですね。他社でも同様の意見を聞きますが、なぜ仕事が出来る人が多いのでしょうか。社会に対する好奇心と何かやろうとするチャレンジ精神でしょうか。

【遠藤】 私見ですが、誰にでも興味ややりたいことは少なからずあると思います。日常業務に追われてなかなかアクションが起こせない人がいる一方、仕事も社会貢献も両方できる社員も少なからずいます。チャンスがあればやりたいがなかなか難しいという社員にも「あ!気が付いたらボランティアしていた」という環境を整えていくことが、社会貢献部門のやるべきことと感じています。ビジネスと社会貢献を統合することで、できるだけ多くの社員が参加しやすい仕組みをつくるように努めています。
 弊社では、全社会議でチャリティイベントの告知などをしていますが、社長やエグゼクティブが応援・推奨してくれるため、社員が参加しやすいと感じます。また、社会貢献活動においてリーダーシップを発揮した社員を四半期に一度表彰する制度を設けるなどの工夫をしています。セールスフォース・ドットコムにとって、テクノロジーと並んでこの1/1/1モデルがコアコンピタンスであり、企業のDNAにしっかり組み込まれていることを常に社員が感じられるように、また、この1/1/1モデルを広くビジネスセクターに紹介して広げていけるように、環境づくりを心がけています。例えば、先日東京で開催した国内最大規模のクラウドコンピューティングイベント Customer Company Tourでは、CEOが行う基調講演に先立ち1/1/1モデルを紹介するビデオを流し、株式会社ファンドレックス代表取締役でもあり日本ファンドレイジング協会の代表理事でもある鵜尾雅隆様にSalesforceが非営利セクターに果たす役割や今後の可能性について話していただいたり、会場内で手軽に参加できる被災地支援ボランティア活動を行ったり、といった様々な取り組みをしました。

 

ビジネスパートナーとの取り組みが、社会課題解決を加速させる

【友田】  御社の中で、社員が自然と取り組めるように工夫されているのですね。その影響は、ビジネスでのパートナーにも広がっているとお聞きしました。

【遠藤】  弊社のアライアンス部門も積極的にビジネスパートナー企業に1/1/1モデルを推奨しており、特に製品・サービスといった本業を活かして非営利セクターを支援するパートナーが増えてきています。非営利団体は、弊社からSalesforce寄贈・割引提供を受け、パートナーからコンサルティングサービスを受け、アプリも入手していく、というセールスフォース・ドットコムのエコシステム全体での社会貢献活動ができつつあります。今後これをより大きなものにしていきたいと考えています。
 パートナー向けに毎年カンファレンスを開催しており、非営利団体支援に最も熱心に取り組んでいるパートナーを表彰させていただいています。また、AppExchange Conferenceというアプリ開発をテーマにしたイベントの基調講演でも、アプリ開発という特殊技術により技術者や開発者が社会を変えることのできる時代がやってきたことを伝え、本業あるいはプロボノでの支援を広く呼び掛けています。
 パートナーによる支援の一例を挙げます。株式会社テラスカイでは、コンサルティングサービスのほか画面開発や連携ソリューションなど多岐にわたる製品の多くを非営利団体が求めやすい安価な料金で提供しています。テラスカイが支援している非営利団体の一つに、東日本大震災の復興支援に取り組む共生地域創造財団という非営利団体があります。共生地域創造財団の活動の一つに、岩手県大船渡市からの委託を受け、支援の届きにくい在宅被災者を定期訪問する見守り活動があります。高齢者や一人暮らしの方々の生活状況、健康状態を調査して必要なアクションをとるにあたり、以前はスタッフが訪問時に紙に記録し、帰社してからPC経由でSalesforceに入力して情報を一元管理していました。現在はタブレット端末を使用し、訪問時にスタッフがその場で入力しています。タブレット端末の小さな画面でも入力しやすくするために、テラスカイ社が製品を提供することにより、快適で柔軟なユーザーインターフェイスになりました。
 共生地域創造財団は、次のステップとして、あるパートナーの地図連携アプリを利用して、蓄積されている大船渡エリアの被災者の様々な情報を地理的に可視化・分析することを計画しています。被災者情報を人数、年代、ニーズなど様々な切り口で色分けして分析し、より効率的に迅速に支援をしていこうと考えています。

【友田】 本当に非常に素晴らしい取り組みですね。ビジネスパートナーと一緒に取り組むことで、社会問題の解決を加速させることができる好事例だと感じました。改めてビジネスと社会貢献活動が統合されるべきであることを実感させて頂きました。御社の取り組みがこれからも大きく広がることを楽しみにしています。


 

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