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ソーシャルアクション『社会の潮目』

総合人材サービスを展開するパソナグループが地域活性化に取り組んでいる。淡路島を舞台に農業を軸として様々な事業を展開している。これまでの人材ビジネスとは、一見まったく重なり合わないようにも思える新しい分野に取り組もうと思ったきっかけ、そして本業の人材ビジネスとの相乗効果について、 株式会社パソナグループ 新規プロジェクトチーム長 塩沢様にお聞きしました。

 

パソナ農援隊 http://www.pasona-nouentai.co.jp/
のじまスコーラ http://www.nojima-scuola.com/
ここから村   http://www.pasonagroup.co.jp/cococala/

 

(掲載日:2015/1/20)


地方にも働く場をつくる

【友田】 パソナというと、人材育成・派遣の仕事をイメージされる方が多いと思いますが、地域活性化に取り組み始めた原点についてお聞かせ頂けますでしょうか。

【塩沢】パソナグループでは社会の問題点を解決することを企業理念としており、“雇用創出”という観点から、様々な社会問題点に取り組んできています。
 「農業分野における雇用創出」については、『農業インターンプロジェクト』という農業分野での適正を知ってもらうためのインターン事業を自治体と組んでやりはじめました。実際に始めると、異業種出身の方が、農業従者になることは非常に難しく、「企業として、農地の支援、技術指導なども含めたトータル的な就農支援を行わなければならないといけない」と感じました。そして、2008年から独立就農支援制度「パソナチャレンジファーム」をはじめました。この時に協力すると手を挙げて頂いたのが兵庫県でした。
 何故、あえて「農業」だったのかというと、パソナグループ代表の南部靖之が2000年頃から全国を行脚し、その中で「新しい産業として雇用創出の可能性が高いのは農業だ」という点に着目したことが一番のきっかけでした。農業は、地域の基幹産業です。農業者が増えれば生産量が増える。生産業が増えればその野菜を加工する人や売る人が増えていく。もっと言えば農業をする上で必要な資金調達、農業機器の活用など、さまざまな産業が関係しており、新規参入者が増えれば、様々な産業で雇用が増える。つまり、地域における雇用の波及効果の高い分野だと捉えています。
 しかし、農業は後継者不足で担い手の7割近くが65歳以上です。一方で当時は、異業種の方が農業にチャレンジしたいと思っても、情報を得ることや就職支援をしてくれるようなインフラもあまり整っていませんでした。その上、実家が農業をやっていたり、農業従事者が知り合いでもない限り、個人が土地を借りることは非常に難しく、さらには新規就農するためには初期投資やしばらくの間の資金などを考えると多くの準備金も必要であり、実に参入障壁の高い分野でした。
そのような問題を解決し、就農できる敷居を低くし就農する人を増やそうということで始めたのが「パソナチャレンジファーム」でした。

【友田】 「農業」の取り組みから、地域活性化の取り組みへは、どのように展開されていったのでしょうか。

【塩沢】「農業分野」での活動をしていると県や市などとの政策的な連携の機会も増え、その際に色々なことを学ぶことができます。その中で地域の持続性を一番阻害するものは、人口問題だという話が出てきました。個人的には、国際競争をしていってほしい都心と、それとは違った意味で役割を担っていく地方というのが、高齢化・少子化の時代とはいえ、あって良いと考えています。少子化、高齢化、過疎化の影響により、地方自治体が20年後には半分くらいになってしまうという話がある中で、雇用創出を担ってきた当社として地域との関わりで役割を担えないかと思ったのがきっかけでした。
 そこで、どうしたら若者を呼び込めるかと考えた時に、「芸術活動」「農業」を通じた地域活性化に興味のある方を支援する働き方として「半農半芸」を打ち出し、2011年より兵庫県淡路島で人材育成プロジェクトを開始いたしました。その中で、閉校した小学校の利活用について研修生と一緒に取り組み、閉校施設を活用した地域活性化拠点「のじまスコーラ」を立ち上げました。現在は、パソナチャレンジファームで採れた新鮮野菜や、淡路島の特産品などを提供するレストランや直売所等を併設しており、島内外から様々な方が訪れる人気スポットになりました。当施設では、人材育成プロジェクトに参加した研修生の受け入れや、淡路島に残った若者の働く場所となっており、彼らの地域活性の想いや、意見を取り入れた様々な地域活性イベントを企画・実践しています。

 

社会の担い手のスタンスも変わり始めている

 

【友田】 「地域に若者を呼び込む」といった考え方は、どのようなところから見えてきたものなのですか。

【塩沢】パソナが集めた研修生はもちろんですが、パソナグループに入社する内定者や社員も地域に絡んだ仕事を志したい、やってみたいという声が多くなってきたと感じます。地域を活性化させるという分野は、若者も関心を持ってやっていける分野ではないかという思いが我々の中にはありました。
 現在の若者は、以前の日本型雇用と言われる「60歳定年まで勤め上げる」という考えから、「自分がキャリアアップするために新しい環境にチャレンジする」という考えを持つ方が増えてきています。その中で、自分のキャリア経験を活かし、地域を活性化させる分野にチャレンジしたい人が出てきており、地方に移りたいと考える若者が十分にいるのではないかという話になりました。

【友田】 確かに就職活動生や新卒のアンケート調査を見ても、「社会貢献」という項目や、「CSR」等の項目が入っていて、それが当たり前の感覚になってきたのかと感じています。一方、地域のニーズはどのように感じられていますか。

【塩沢】地方は以前から若い人を沢山呼びこみたいというニーズはありましたが、もっと明確に、“企業誘致”ではなく“人材誘致”がこれから必要になってくると私たちは考えています。
 人材誘致とは、若者たちに来てもらい、彼らの活動を支援することでその地域に残ってもらい、後には地域活性に繋がる事業を起こし、新たな産業が地方で生まれるという考え方です。彼らがそこで仕事をしていけば雇用する人間も増え、地域活性に繋がり、産業も生まれ雇用も生まれるということです。

 

 

地域も会社もWIN-WINになるように

【塩沢】  「のじまスコーラ」は、島外から訪れる観光客の方々もたくさん来場されますが、地域住民の方々に非常に多く利用して頂いていると感じています。普通の飲食店だと、土日と平日の顧客数が3倍~5倍ほど違うものですが、「のじまスコーラ」は、平日に地域住民の方々がコミュニケーションの場として使用して頂いているので、平日と休日の差が他の施設や飲食店ほど高くありません。コミュニケーションの場として使って頂けるから、一度来た人がリピーターとしてさらに地域の人を呼んできてくださる。だから利用者数が伸びているのだと思います。

【友田】  これは私の考えですが、地域が活性化しているひとつの指標は、コミュニケーションの量だと考えています。一つは、地域内でコミュニケーションがあるか。もう一つは、その地域と地域の外のコミュニケーションがあるかということです。その点で見ると「のじまスコーラ」は、地元の人が集まることで、地域内のコミュニケーションも増え、観光客が来ることで地域外とのコミュニケーションも増やすことができている素晴らしい施設だと思います。
 一方、学校はもともと地域の核となり、地域のコミュニケーションの拠点になるはずの施設なので、そのような意味では廃校の本質を活かした非常に画期的なリノベーションだと思います。
 弊社も地域活性化の仕事に関わっていますが、地域では「廃校になっても学校を残して欲しい」という意見をよく聞きます。しかし、未活用なところが増えていくのもまた事実で、このようなモデルが広がっていくと、とても面白いと感じています。今後の展望として、この淡路島のモデルを他の地域に広げていくという予定はあるのでしょうか。

【塩沢】  このような地域活性事業を横展開してきたいという思いはあります。先にも触れたように島外の方からの観光スポットとしての注目もありますが、利活用前の元小学校の卒業生や淡路で仕事をしたいという若者を受け入れる大きな雇用の場所になりつつあります。のじまスコーラ内にはレストランや食品加工場・ベーカリーなどを併設したおり、私たちは野菜の生産・収穫から野菜の加工、流通まで、この淡路島で六次産業化が実現できるようになりました。
 人材育成から始まり、農業分野で実際に農作物を作り加工し販売する。そして、それを地域活性化につなげていくというモデルをノウハウとして持つことができたと自負しています。最終的には会社としてビジネスに繋がっていくと感じていますので、試行錯誤しながらではありますが、色々な地域に横展開をして行ければと思っています。

【友田】 地域活性化という日本の社会課題に取り組みながら自社の「人材」という事業ドメインであり、強みを生かして、ビジネスの可能性を広げている姿は、他の企業にとっても非常に参考になると思います。今後の展開を期待しています。本日は、ありがとうございました。


 

パソナ農援隊 http://www.pasona-nouentai.co.jp/
のじまスコーラ http://www.nojima-scuola.com/

 

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